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短歌時評 小島なお

 歌壇俳壇面で月1回掲載している、歌人の小島なおさんによる「短歌時評」。今回は平成生まれの高良真実さんが著した「はじめての近現代短歌史」を取り上げます。

 「なにを書くか」ということと同じくらい重要な意味を持つのは「だれが書くか」ということ。そこに歴史や史観が書かれている場合はとくに。

 『はじめての近現代短歌史』(草思社)が刊行された。著者は平成九年生まれの高良真実。作歌、評論両輪の気鋭の作者である。短歌史を学ぶには、篠弘『現代短歌史』、三枝昂之『昭和短歌の精神史』などの良著がすでに存在する。しかし平成以降、バブルが崩壊し、インターネットが普及し、東日本大震災が発生した。歌壇の場のみならず、作者意識も変容し続けている。本書では、昭和以降の歌壇史のパートを「ポストニューウェーブと口語の深化」や「東日本大震災後の議論」など文体や時事のトピックを挙げながら、多面的に分析してゆく。

 本書の最大の価値は昭和二十…

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