国連気候変動会議(COP29)が11日、アゼルバイジャンの首都バクーで始まります。約200の国・地域が一堂に会し、温室効果ガスを出す化石燃料の扱いや、途上国支援の資金目標などを議論します。2015年に国際ルール「パリ協定」が採択されてからまもなく10年。気候変動という人類共通の難題に対し、世界が一丸となって成果を残せるか。約2週間にわたり、現地のリアルな動きや交渉の裏側を記者が毎日報告します。(日付は現地時間)
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開幕前(11月10日)
11日から始まる、国連気候変動会議(COP29)を前に、アゼルバイジャンの首都バクーには、各国政府代表やメディア関係者が集まり始めました。1年間で最も大きな気候変動交渉の機会の幕開けです。
10日昼過ぎ。バクー東部のヘイダル・アリエフ国際空港の前には、COP29の出席者やメディア向けのシャトルバスがずらりと並び、COP29のスタッフたちが行き交っていました。空港から会場へと続く幹線道路沿いには、COP29の垂れ幕がいくつも並んでいます。
この日のバクーは青空が広がり、最高気温は16度。日本とあまり変わらず、心地よい気候です。会場では参加登録のブースに行列ができていたほか、カメラの前でリポートをするメディア関係者の姿も。翌日の開幕に向けて、熱気が高まりつつあります。
今年は先進国から途上国への新たな資金支援目標が最大のテーマです。「ファイナンス(資金)COP」とも呼ばれます。途上国は気候変動による異常気象などの被害を受けやすい一方、対策を強化したり、エネルギーの脱炭素を進めたりするための資金が不足しがちです。この資金目標を議論します。
また、日本のエネルギー政策に関わる化石燃料の議論の行方も大きな焦点です。昨年、アラブ首長国連邦(UAE)であったCOP28では、「化石燃料の段階的削減」と「化石燃料の段階的廃止」という二つの表現のどちらにするか論争した結果、「排出削減対策がない化石燃料からの脱却」との表現で妥結しました。今年も激しい駆け引きが予想されます。
COP29での交渉の不安要素として、米大統領選があります。気候変動対策の国際ルール「パリ協定」からの脱退を示唆しているトランプ氏が勝利したためです。気候変動交渉において、今回のCOP29で米国や関係国がどのような対応を示すかも見どころです。
「アメリカ・イズ・オール・イン」と呼ばれる、トランプ氏とは反対に米国内で気候変動対策を推進する企業や自治体による団体も現地で活動すると発表しており、政府代表以外の動きにも関心が高まっています。
会期は22日までの予定です。(バクー=福地慶太郎、市野塊)