【将棋LIVE】藤井聡太名人も解説、将棋界の一番長い日・大盤解説会~A級順位戦最終一斉対局~【第83期将棋名人戦・A級順位戦】

 藤井聡太名人(22)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=への挑戦権を争う第83期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦が27日午前9時から静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で5局一斉に指された。

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 順位戦の最上位に君臨する10傑が挑戦と残留を懸けて戦い、ファンが深夜まで決着を見守るA級最終戦には「将棋界の一番長い日」の通称がある。持ち時間は1日制対局として全棋戦最長の各6時間。

 全5局の模様と藤井名人ら出演の現地大盤解説会はユーチューブ「囲碁将棋TV」で中継し、棋譜は朝日新聞のデジタル版に掲載する。

終局後の棋士たちの言葉

 A級順位戦最終局を戦った全棋士の終局後の言葉を紹介する(順番は終局順)。

 渡辺明九段の話

 「展開が急で分からないところがありました。(勝ち越しで終えて)いろいろ対戦相手の方にご迷惑をお掛けしている状況なので、いろいろ思うところはあります。(来期は)体の状態を整えなきゃいけないと思います」

 菅井竜也八段の話

 「△3五歩が中途半端な手になって、少し作戦負けかなと思いました。形勢はキツいのかなと。仕掛けられてからはまずかった。(降級について)仕方ないというふうに思っています。(来期は)精いっぱい頑張りたいと思います」

 永瀬拓矢九段の話

 「仕掛けていく将棋で、軽いは軽いので、主張を作られないように頑張って指せるかどうか、分岐の多い局面の手前でもっと考えて(本譜と分岐を)比較しなければいけなかった。6勝3敗はいちばん多い星で、今期もそれ以上の星をつくることができなかった。3敗の天彦九段戦、中村八段戦、渡辺九段戦はいい局面もつくれていたと思うので、全体的に課題の残る順位戦だったかなと思います」

 増田康宏八段の話

 「模様をどう取っていいか分からなかった。終盤は手が見えなくてどうしようもなかったです。(初参加のA級は)良い内容の将棋もあったんですけど、今日みたいに勝負にならない将棋もあった。5勝で来期も戦えるということで、来期は改善したいと思っています」

 佐々木勇気八段「4手目ぐらいから想定と外れ、三間飛車に対する急戦は仕方なくやった感じで、用意があってやったわけではありません。本局は駒得を生かす展開にしたかったが、判断がつかない感じでした」

 「終盤で▲3三桂成(銀取り)か▲5三桂成(金取り)かどちらが最善なのかわからなかったんですが、本譜▲5七竜と引いたところは手厚いのかなと思って、金取る順を選んだんですけど、その判断がどうだったかなというのが勝負どころだったかなと思います」

 「▲5四桂と金取りにした手が着実な手になったので、そこで勝ちになったかと思いました」

 「(今期5勝4敗で終えることや来期に向けて)内容が良くない将棋が続いていたので、もう少し力をつけなくちゃいけないなと感じました。今日はいい将棋が指せましたが、思うところは結構いろいろあり、来年は最終局で挑戦争いに加われるようにしたいです」

 佐藤天彦九段の話

 「(三間飛車で4筋から仕掛けられる展開について)本譜の2筋の突き捨てを入れない形での仕掛けにどう応じたらいいか、かなり考えたんですがわかりませんでした。ちょっとずつ悪い将棋はいつも指しているんですが、本譜は結構はっきり悪い将棋になりました。相手の駒得が大きいので、わかりやすく悪い感じになってしまったのかなと思います。戦いが起こった直後はだいぶ考えたんですけど、いい対応がわからなかったです」

 「(銀損について)はっきり負けというわけではないかもしれないですが、ただ序中盤の段階での形勢としては良くなかったのと、あと、わかりやすい展開というか、先手は駒得という良さをいろいろ選べる展開だったので、けっこうきつい感じにしてしまった感じがあります」

 「(攻め合いになって敵玉に迫る展開になったことについて)成り駒で迫っていったんですが、そういうことをやらないと、逆転の余地はないかなと思っていたんですが、やっぱり、基本的には先手が厚い将棋で、正確に指されると勝てない局面が続いていたと思います」

 「(挑戦がプレーオフに持ち越しとなったことについて)今日の対局に集中していたので、次もあるわけですが、一つ切り替えて臨まないとなと思います」

 「(永瀬九段との対局の抱負)プレーオフは初めてなので、どういう感じの心持ちになるかわからないんですが、切り替えて臨みたいと思います」

 豊島将之九段の話

 「(今期A級は)スタートから、かなり厳しかったので、降級しても仕方がないかな、と思っていました。また来年、A級で指せるので、頑張りたいと思います」

 「自分の中で、一番負けた時点で、かなり苦しいのかなと思っていました。相当、将棋の内容も悪かったですし、好転していくような兆しがなかったので……」

 「今年度の12月ぐらいから、ちょっとずつ、内容が良くなっているような気がするので……。それでも、うまく指せないことは結構多いですけど、ちょっとずつ頑張っていきたいと思います」

 千田翔太八段の話

 「どのような結果が出ても、やむを得ないと思っておりました。本局に負けた場合、降級するのが妥当だろうなと思っておりましたので……。(今期は)内容がよろしくない将棋もありましたので、内容自体は少しずつは良くなっているかと思いますが、引き続き、内容を高められるよう頑張っていきたいと考えております」

 「B級に降級していても、やむを得ない内容だったのではないかと思っており、強く反省しております」

 「(来期は)この経験を生かして、一局一局をしっかり指せるように精進したいと思います」

 稲葉陽八段の話

 「(今期は)成績も残念だったが、内容自体もかなり苦しくて、熱戦になることも少なかったので、(本局が熱戦になって)そういう意味では良かったかな、と」

 「(来期はB級1組で、チェスクロックを使用するなど、違いがあるので)しっかり対応して、上を目指せるよ人はうに頑張りたいと思います」

 「(前夜祭で『再来年、戻ってきたい』と話す途中でファンが大きな拍手をしてくれたことについて)前夜祭に来ている方の中では、私はあんまり興味がないと言ったら、アレですけど、挑戦争いや降級争い、注目されている人は他にたくさんいたと思うので、そういう中で声援をいただいことは、すごく励みになりました」

 中村太地八段の話

 「(今期A級は4勝5敗だったが)一局一局が大変で、自分の良いところ、悪いところ、全て出たのかなと思います。しっかり振り返って、まだ来期につなげたいと思います」

 「(来期は3期目だが)この2期は、残留できるかという勝負だった。来期は、上を目指せるよう、今から来期に向けて、しっかり準備したいと思います」

23:49

稲葉陽八段が勝利、全対局が終了

 午後11時49分、稲葉陽八段が中村太地八段に勝利し、すべての対局が終局した。

 各棋士の9回戦の結果と相手、最終成績は以下の通り

1位 永瀬拓矢九段 ○増田 6勝3敗=プレーオフ

2位 佐藤天彦九段 ●佐々木 6勝3敗=プレーオフ

3位 渡辺明九段 ○菅井 5勝4敗

4位 佐々木勇気八段 ○佐藤 5勝4敗

5位 増田康宏八段 ●永瀬 5勝4敗

6位 豊島将之九段 ○千田 4勝5敗

7位 中村太地八段 ●稲葉 4勝5敗

8位 千田翔太八段 ●豊島 4勝5敗

9位 菅井竜也八段 ●渡辺 3勝6敗=降級

10位 稲葉陽八段 ○中村 3勝6敗=降級

23:35

豊島将之九段が勝利

 午後11時35分、豊島将之九段-千田翔太八段戦は豊島九段が勝利した。菅井八段が敗れているため、千田八段の残留は決まっているが、本人は知らないまま対局を続けていた。

23:08

佐藤天彦九段敗れる

 午後11時8分、佐藤天彦九段が佐々木勇気八段に敗れ、6勝3敗となった。

2手目を指す佐藤天彦九段。手前は佐々木勇気八段=2025年2月27日午前9時2分、静岡市葵区の「浮月楼」、菊池康全撮影

 佐藤九段は名人挑戦をかけて永瀬拓矢九段とのプレーオフを戦うことが決まった。

 プレーオフは3月4日の予定だ。

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