【対局中継】芝野虎丸名人ー一力遼棋聖【第49期囲碁名人戦第2局2日目】

 虎の逆襲か、力の進撃か――。芝野虎丸名人(24)に一力遼棋聖(27)が挑戦している第49期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局は5日、宮崎県高原町の旅館「極楽温泉 匠の宿」で打ち継がれる。

 芝野が防衛3連覇を目指し、一力が初の名人位を狙う今期七番勝負。第1局は挑戦者の完勝でシリーズは幕を開けた。

  • 【1日目詳報】重大な勝負どころ、一力挑戦者が封じ手 芝野名人が逆襲

 一力は第2局の後に中国へと経ち、世界一にあと1勝と迫っている国際棋戦「応氏杯」の第3~5局に臨む。本局に勝利し、ワールドチャンピオンに弾みをつけたいところだ。一方の芝野も第1局の後に王座戦と天元戦で挑戦権を獲得。上り調子の勢いに乗り、1勝1敗のタイに戻したい。

写真・図版
芝野虎丸名人(左)と挑戦者の一力遼棋聖

 対局は2日制で打たれ、持ち時間は各8時間。開幕局に続いて早い進行の戦いとなった1日目は、一力挑戦者が120手目を封じて打ち掛けとなった。消費時間は芝野4時間6分、一力3時間37分。120手は1日目としては名人戦史上最長手数のタイ記録。張栩名人に芝野八段が挑戦した第44期名人戦第2局以来のことだ。

 5日午前9時に封じ手を開封して再開され、同日夜までに終局する見込みだ。立会人は高尾紳路九段、記録係は青木裕孝三段と重川明司初段、朝日新聞解説は上野愛咲美女流立葵杯、YouTube解説は上野梨紗女流棋聖、大盤解説は鶴山淳志八段、大盤聞き手は安田明夏初段。朝日新聞デジタルでは七番勝負の模様をタイムラインで徹底詳報する。

2日目総括

二重の驚き、ヘトヘトの検討

 名人戦史上、有数の激戦と言えるのではないか。

 検討室では立会人の高尾紳路九段、新聞解説の上野愛咲美女流立葵杯、ユーチューブ「囲碁将棋TV」解説の上野梨紗女流棋聖らが、盤上に石を崩しては並べ直す検討を繰り返した。それでも両対局者の意図が理解できない手が頻出した。しかもそれらの手がことごとくAIの推奨手と一致していることに二重の驚きをもたらした。

 一瞬の停滞も許されない盤上の緊張が始まったのは図の一力挑戦者の白1から。黒2と受けさせて、白3のシチョウを実現する意図と思われた。しかし名人の黒4の攻撃に白5、7と動きだすと、黒6がシチョウアタリになって、黒8と逃げだされてしまったではないか。どういうことだ?

写真・図版
黒・芝野名人 白・一力挑戦者(88-96手)

 挑戦者は、白3のシチョウを…

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