トランプ大統領(中央左)に迎えられ、笑顔の石破茂首相=2025年2月7日午前11時50分、米ワシントンのホワイトハウス、恵原弘太郎撮影

 石破茂首相とトランプ米大統領が現地時間7日発表した共同声明の要旨は次の通り。

 両首脳は、自由で開かれたインド太平洋を堅持するとともに暴力の続く混乱した世界に平和と繁栄をもたらす、日米関係の新たな黄金時代を追求する決意を確認した。

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【平和のための日米協力】

 両首脳は、二国間の安全保障・防衛協力が、かつてないほど強固になっていくことへの共通の願望を表明し、日米同盟が、インド太平洋及びそれを超えた地域の平和、安全及び繁栄の礎であり続けることを強調した。

 米国は、核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調した。

 両首脳は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認し、尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとするあらゆる行為への強い反対を改めて表明した。

 両首脳は、抑止力を維持し、地元への影響を軽減するため、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設及び同飛行場の返還を含む沖縄統合計画に従った在日米軍再編の着実な実施が極めて重要であることを確認した。

【成長と繁栄をもたらす日米協力】

 両首脳は、経済安全保障に関するものを含む二国間の経済協力が同盟協力の不可欠な一部を成すことを確認した。緊密な経済パートナーとして、日米は、互いの国において最大規模の海外直接投資と質の高い雇用を創出している。両国の産業は、相互のサプライチェーンにおいて極めて重要な役割を果たし続ける。

 経済関係の強化に向けた揺るぎない進路を示し、この経済パートナーシップを新たな次元に引き上げるため、両首脳は、二国間のビジネス機会の促進並びに二国間の投資及び雇用の大幅な増加、産業基盤の強化及びAI、量子コンピューティング、先端半導体といった重要技術開発において世界を牽引(けんいん)するための協力、経済的威圧への対抗及び強靱(きょうじん)性構築のための取組の強化、自由で公正な経済秩序に支えられるインド太平洋地域の成長の共同での促進を追求する。

 両首脳は、米国の低廉で信頼できるエネルギー及び天然資源を解き放ち、双方に利のある形で、米国から日本への液化天然ガス輸出を増加することにより、エネルギー安全保障を強化する意図を発表した。

【インド太平洋地域における日米連携】

 両首脳は、日米豪印(クアッド)、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調のとれた協力を推進する意図を有する。これらの関係を通じ、日米及び同志国は、第三国におけるオープンRAN展開を含む地域への質の高いインフラ投資をもたらすことができる。

 両首脳は、中国による東シナ海における力または威圧によるあらゆる現状変更の試みへの強い反対の意を改めて表明した。南シナ海における中国による不法な海洋権益に関する主張、埋め立て地形の軍事化及び威嚇的で挑発的な活動に対する強い反対を改めて確認した。

 国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調した。両岸問題の平和的解決を促し、力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対した。また、国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明した。

 両首脳は、北朝鮮の核及びミサイル計画の進展への深刻な懸念及びこれらに対処することの必要性を表明するとともに、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを改めて確認した。日米はまた、北朝鮮の悪意のあるサイバー活動や、拡大する北朝鮮とロシアとの間の軍事協力を抑止し、これらに対処する必要性を強調した。さらに、北朝鮮に対応し、地域の平和と繁栄を堅持する上での日米韓の三カ国パートナーシップの重要性を確認した。

 日本は、拉致問題の即時解決を実現するとの決意を改めて表明し、米国はそれを支持した。

【訪日の招待】

 トランプ大統領は、石破首相から近い将来における公式訪問の招待を受け入れた。

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