旧優生保護法とは
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 旧優生保護法の規定を違憲とし、国の賠償責任を認めた3日の最高裁判決の要旨は次の通り。

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憲法13条に違反するか

 旧優生保護法(旧法)の規定は、特定の疾病や障害のある人たちを対象者とする不妊手術について定めたものだ。不妊手術は、生殖能力の喪失という重大な結果をもたらす身体への侵襲だ。不妊手術の強制は、憲法13条の保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」に対する重大な制約にあたる。正当な理由に基づかずに不妊手術を強制することは、同条に反し許されない。

 旧法の規定の立法目的は、専ら優生上の見地から、特定の障害などのある人が不良であるという評価を前提に、その人や一定の親族関係のある人に不妊手術を受けさせることで、同じ障害などのある子孫が出生することを防止することにあると解される。

 しかし、憲法13条は個人の尊厳と人格の尊重を宣言しており、上記の立法目的は、立法当時の社会状況をいかに勘案したとしても、正当とはいえないことが明らかだ。旧法の規定は、そうした立法目的の下で特定の個人に生殖能力の喪失という重大な犠牲を求める点で、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する。

 したがって、旧法の規定により不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められず、不妊手術を強制することは、憲法13条に違反し許されない。

 旧法のうち、本人の同意を要件とした不妊手術について定めた規定についても、ほかの規定と同様、専ら優生上の見地から特定の個人に重大な犠牲を払わせようとするものだ。そのような規定により行われる不妊手術について本人に同意を求めること自体が、個人の尊厳と人格の尊重の精神に反し許されないのであって、同意があることをもって不妊手術が強制にならないということはできない。旧法の規定は13条に違反する。

憲法14条に違反するか

 憲法14条は、事柄の性質に…

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