手をつないで歩く親子

 日本でも、子どもを育てている女性同士のカップルの存在が知られている。精子提供を受けて出産する選択肢も出てきた。女性カップルの出産・子育てについて国内外の状況を解説する。

 Q 女性同士のカップルでも親になれるの?

 A 日本でも、性的マイノリティーの当事者が、実際に子育てをしている現実がある。これまで広く知られていない面もあったが、当事者らの発信などで徐々に可視化されてきた。

 Q どんな方法がある?

 A 女性同士のカップルが親になる方法は、大きくわけて四つある。

 イメージしやすいのは、元夫などとの間で生んだ子どもを女性パートナーと2人で育てる「ステップファミリー」だ。

 次の二つは、同性カップルでも制度上利用できる「里親制度」と「養子縁組」で親子になるものだ。

 里親は、何らかの理由で親の養育を受けられない子を一時的に預かって育てる制度だ。ただ、養育義務などがある法的な親子関係ではない。

 養子縁組は、血縁のない子と法的な親子関係をつくる制度だ。そのうち、子と実親の親子関係が残る「普通養子縁組」であれば、単身者も可能なので、同性カップルの一方が縁組できる。実親との親子関係がなくなる「特別養子縁組」は夫婦のみなので、同性カップルはできない。

 ただし、女性同士のカップルが二つの制度で親になる例がどのくらいあるか、実態は分かっていない。実親の同意や、家庭裁判所の許可が必要だといったハードルがある。児童相談所や民間の縁組あっせん機関の中には、「団体としてはあっせんしたい」と考えているところもある一方、「マイノリティーへの偏見が強く、現実的には難しい」との意見もある〈1〉。

 四つ目が、第三者に精子を提供してもらい、子どもを授かることだ。海外の精子バンクや、国内で協力する医療機関が出てきたことから、近年選択肢として広がってきた。

 Q 男性同士のカップルでは?

 A ステップファミリー型はもちろん、里親や養子の制度の利用は、男性カップルでも同様に可能だ。

 ただし、卵子提供を受けることにはハードルがある。精子提供と異なり、卵子を体外に取り出すには医療機関での処置が必要で、薬剤を使った排卵誘発などには一定のリスクがある。

 また、男性は妊娠も出産もで…

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