国立大の「女子枠」などをめぐる動き

 国立大が理工系学部を中心に、女子学生を増やそうと躍起(やっき)になっています。女性しか受験できない「女子枠」の導入も相次ぎます。この分野では長年、女子学生比率の低さが指摘されてきました。なぜ今、力を入れ始めたのでしょうか。いちから解説します。

  • 大学入試の「女子枠」、国立の4割導入へ 背景に「偏り」への危機感
  • 「もともとあった段差を乗り越える」 受験で拡大する女子枠の意義

 Q 入試に女子枠を設ける国立大が相次ぐのはなぜ?

 A きっかけは、政府の教育未来創造(そうぞう)会議が2022年5月に出した提言だ。産業界の意向もあり、日本の成長には、もっと女性を含む多様な人材の活躍が必要だと指摘した。特に男性割合が非常に高い理工系学部などで、女性を増やす目標を掲げた。

 Q なぜ多様性が大事?

 A 日本政策投資銀行は、女性が開発に関わった特許(とっきょ)の経済価値は、男性だけのチームよりも約4割高いとの論考を発表した。日本生産性本部の調査でも、女性の活躍が「業績向上の要因の一つになった」「業績向上はみられないが、組織が活性化するなど変化がある」と答えた企業の合計は全体の48%にのぼる。

 Q 女子枠を導入する大学は?

 A 益(ます)一哉学長が同…

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