会見する地震調査委員会の平田直委員長=2025年1月15日、東京都千代田区

 政府の地震調査委員会は、南海トラフ沿いでマグニチュード(M)8~9級の地震が30年以内に起こる確率(30年確率)について、これまでの「70~80%」を「80%程度」に引き上げました。発生確率はどう算出するのか、なぜ今回上がったのか解説します。

 Q 南海トラフ地震とは。

 A 静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として発生する大規模な地震で、過去にも大きな被害をもたらしてきた。フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底の深い溝「南海トラフ」のプレート境界の沈み込みにより、ひずみがたまり、それが限界に達して跳ね上がることで発生する。おおむね100~150年の間隔で繰り返し発生している。

 Q 被害はどのくらいになるのか。

 最悪のケースで、死者は約32万3千人、全壊および焼失する建物は約238万6千棟にのぼるとされる。ただ、M9級の地震が起きた場合の被害想定で、発生確率がそのまま当てはまるわけではない。

 Q なぜ発生確率を引き上げたのか。

 A 調査委は毎年、日本各地の地震発生確率を算出している。今年1月1日にも数値が更新され、南海トラフ地震の30年確率については、昨年の「74~81%」から「75~82%」に見直された。いずれも四捨五入すると80になるため、80%程度という表現に変えた。

 30年以外の期間でも発生確率は算出していて、50年以内に起こる確率は「90%程度もしくはそれ以上」となっている。

 Q どう計算しているのか。

 A 調査委は南海トラフ地震…

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