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「佐渡島の金山」のあゆみ

 新潟県の「佐渡島(さど)の金山」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されました。国内では26件目です。6月にあったユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)の勧告では、4段階の評価のうち上から2番目の「情報照会」でしたが、逆転での登録となりました。そもそも佐渡金山はどんな遺産で、何が評価されたのでしょうか。

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 Q 世界遺産に登録された「佐渡島の金山」(新潟県)は、どんな場所?

 A 世界有数の質と量の金が生産された日本最大の鉱山遺跡(いせき)だ。江戸(えど)時代を中心に、金を掘(ほ)った跡(あと)や奉行所(ぶぎょうしょ)、集落の跡などが残っている。

 Q いつから金が採れた?

 A 12世紀の「今昔(こんじゃく)物語集」に登場するなど、平安時代の末ごろから砂金が採取されてきたらしい。金銀山がいくつも見つかっているが、なかでも大きいのが「相川金銀山」だ。1601年に採掘が本格化したと伝わり、17世紀前半には世界最大規模の金山になった。この時代の鉱山町の人口は5万人ほどだったともいわれる。

 「佐渡島の金山」は、佐渡で最も古い砂金を採る鉱山「西三川(にしみかわ)砂金山」と、相川金銀山と鶴子(つるし)銀山からなる「相川鶴子金銀山」の二つが構成資産となっている。

 Q 佐渡金山は何がすごいの?

 A いわゆる鎖国政策で海外からの技術の導入が限られる中、機械を使わず手作業で金を生産した。相川金銀山のシンボルで、山を割ったような風景の「道遊(どうゆう)の割戸(わりと)」は、地面に出ている金の鉱脈を手で掘って生まれた。17世紀前半の金の生産量は世界の10%を占(し)めたとされ、最高純度は99・54%。世界有数の質と量の金を生産した、手工業の技術的な到達点(とうたつてん)だと評価されている。

 Q ほかにも特徴がある?…

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