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政治学者で同志社大教授の吉田徹さん

 日本維新の会は「第三極」として生き残れるのか――。支持率は低迷し、高校授業料の無償化で政府・与党と合意し実績を示したと思いきや、兵庫県での情報提供問題も生じています。同志社大学教授の吉田徹さんは「簡単に言えば、国民民主党の人気が落ちれば維新に票が戻る」と言います。その政治構造を聞きました。

 ――維新の支持率が低迷しています。

 維新が狙ってきたのは「改革志向の無党派層」です。日本の有権者のおよそ2~3割を占めると見積もられています。頭打ちの状態にありますが、維新はそのパイを国民民主党と取り合っている構図にあります。

「国民民主に現役世代や若年層の支持を奪われた」

 その中で維新の失速が目立ちます。最近は大阪・関西万博への逆風、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏への兵庫県議による情報提供問題などが目立ちますが、その前から議員の不適切な行動が続発し、「大阪都構想」の住民投票も2回にわたって否決されています。過去の維新には橋下徹氏という強力なアイコンがいましたが、その後にカリスマ的な政治家も出てきていません。

 さらに維新は構造的な脆弱(ぜいじゃく)性を抱えています。大阪の党なのか、全国規模の党なのか、意思決定の場が複層的にあり、どこに重心を置くのかによって、政策も変わってくることになります。

 「改革志向の無党派層」の取り合いでは、国民民主が有利となっているのが現状で、現役世代や若年層の支持を奪われています。国民民主はまだ新しいイメージがあり、玉木雄一郎氏という「党のアイコン」が存在します。対する維新の吉村洋文代表は全国的な知名度が高いとは言えません。前原誠司共同代表は新参組ですが、これも大阪と東京の二重性の象徴で、有権者から見ればわかりにくい構造でしょう。

 ――維新の「ガバナンス不足」が指摘されています。

 維新は急激に成長してきたた…

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