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昨年の能登半島地震で被災した石川県輪島市の山あいにある別所谷町の住民たちが27日午後、市街地への「集団移転」を求める要望書を坂口茂市長に提出した。
- 「現地再建のメド立たない」能登の集落、市街地への「集団移転」要望
輪島市は「復興まちづくり計画」で「生活拠点の集約化」に言及し、国の補助金を利用した「防災集団移転」の調査費を補正予算に盛り込むなどしているが、実際に、山間部の住民から市街地への集団移転の要望が出されたのは能登の被災地で初めてだ。
山あいの集落はいま、どうなっているのか。24日午後、輪島市街地の仮設住宅で暮らしながら頻繁に別所谷町に通っているという元区長の倉山邦雄さん(77)に案内してもらった。
折り重なった倒木、傾いた電柱
市街地から車で20分ほど。別所谷町の集落の入り口でまず目に入ったのは、谷のような場所に折り重なった倒木と、谷から生えたように突き出た、傾いた電柱。
「ここが道路やった」と倉山さんは言う。昨年元日の地震の後、集落内の道路は応急復旧されたが、9月の豪雨で大規模な土砂崩れが起き、また崩れたという。
ここから先は車で進めない。道路が崩落してできた穴のへりを、倉山さんについて歩く。
ひとけのない集落に、新雪がひざより高く積もっている。長靴が雪を踏みしめるキュッキュッという音だけが辺りに響く。
震災前、この集落には43世帯79人が暮らしていた。いま、ここに住む人はいない。
窓ガラスが割れ、ブルーシー…