小林豊さんの霊前。今も命日が近づくと、缶ビールを持って友人が墓参に訪れる=2024年6月11日午前、静岡県掛川市、佐藤仁彦撮影
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 長野県松本市でオウム真理教が起こした「松本サリン事件」で息子を亡くした女性が、ほかの犯罪被害者遺族たちの言葉に耳を傾け、支える活動をしている。

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 静岡県掛川市に住む小林房枝さん(82)の次男豊さん(当時23)は、松本サリン事件で、アパートで就寝中に命を奪われた。

 豊さんは、幼い頃から明るく友人に恵まれた。やんちゃだったが、努力家だった。「私たち夫婦にとっては、できすぎの息子でした」

 大学卒業後は、大手電機メーカーに入社した。2年目の5月、松本市へ半年間の予定で出張に出た。事件は、その約1カ月後に起きた。

ひつぎの中で眠っているようだった

 翌日未明、病院から連絡があ…

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