これまで日本の安全保障政策は、米国が日米協力の「青写真」を描き、日本がその「宿題」をこなすように防衛力を強化してきた。その顕著な例が、後に米国の国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏ら知日派の超党派グループが対日政策として2000年に発表した「アーミテージ・ナイ・リポート」だ。
有事法制や弾道ミサイル防衛の必要性など10項目超を提言し、その大半を小泉政権が3年間で実現させた。集団的自衛権行使に関する日本の憲法解釈を「同盟の制約」と断じ、秘密保持の法整備も求めていたが、残る宿題は安倍政権がこなした。
安全保障環境を見れば、米国の筋書きに従うことが全て悪いとは言わない。だがこの30年、日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして政治家や官僚が米国の外圧を利用し、「戦後安保のタブー」(元外務省幹部)破りを進めてきた感が否めない。
だが、この惰性は続けられな…