最高裁判所=東京都千代田区

 有罪が確定した裁判をやり直す再審制度をめぐり、審理長期化などの問題が指摘されていることを受けて、最高裁は18日、裁判官たちが制度の課題を議論する非公開の研究会を開いた。最高裁は今回の議論も踏まえ、再審請求審の迅速化に取り組むとしている。

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 裁判官研修などを担う最高裁の司法研修所が開き、全国の地高裁で刑事事件を担当する裁判官ら34人がオンラインで参加。再審をテーマにした研究会は初めてとみられる。

 再審制度の抱える大きな課題が、再審の請求から再審開始が決まるまでの手続きの長さだ。静岡県の一家4人殺害事件をめぐり、死刑が確定した後に再審で無罪となった袴田巌さんは、最初の再審請求から再審開始が確定するまでに42年かかった。

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 最高裁によると、研究会では、再審開始を認めるかを判断する「再審請求審」の進め方などを議論した。参加者から「事案に応じて(弁護人や検察官ら)当事者との協議を定期的に入れる」といった工夫などが共有されたという。

個別事例の検証はせず

 捜査や裁判の手続きを定めた刑事訴訟法には、再審に関する条文は19しかない。進め方に関する規定の乏しさが長期化の温床になっているとの指摘は根強く、「明文規定がない難しさがある」といった声も上がった。

 一方で、袴田さんの再審など個別の事例は議題にしていない。最高裁は「個別事件の検証は、憲法が保障する裁判官の独立にかかわるため」と説明している。

 再審制度をめぐっては、法相の諮問機関である「法制審議会」で制度見直しに向けた議論を始めると法相が表明。超党派でつくる国会議員連盟でも検討が進んでいる。

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