【動画】最高級の将棋駒となる、ツゲを育む御蔵島=中山由美撮影

深い森の中の天然ツゲ=2024年8月8日、東京都御蔵島村、中山由美撮影

 「銘木の島」として知られる伊豆諸島・御蔵島(東京都御蔵島村)が、担い手不足に悩んでいる。島の深い森で育まれるツゲやクワは、最高級の将棋駒や伝統工芸品の材として重宝されてきたが、林業で働く人は減り、今年は害虫の大量発生にも見舞われた。島が誇る銘木を守り続けていくため、島民の奮闘が続く。

伐採まで100年、時間をかけて育つ天然ツゲ

 切り立つ断崖に囲まれた御蔵島は、外周16.4キロ。約300人の島民は、10分ほどで歩いて回れる集落に暮らす。人口密度は1平方キロ当たり14人と、都内最少だ。黒潮に運ばれる暖かく湿った空気は、島に豊富な水をもたらし、豊かな森と多様な生き物を育んできた。

 ガイドの小木(こぎ)万布(かずのぶ)さん(51)の案内で、スダジイやタブノキなど照葉樹が生い茂る森に入る。「これが天然のツゲです」と示された木は、幹や枝をくねらせながら空高く伸びていた。小木さんによると、「時間をかけて育つので、硬いのが特徴」という。

 広瀬節良さん(68)のツゲ…

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