東京都議会自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、パーティー券の売り上げの一部を政治資金収支報告書に記載していなかった都議らが23日、記者会見に参加し、「過去のやり方に沿って運営した」などと釈明した。自民は不記載があった都議らの氏名と額を公表し、幕引きを図りたい考えだが、ほかの会派は厳しく追及する構えだ。
都議会自民党が公表した調査結果によると、2019年と22年の政治資金パーティーで販売ノルマ超過分を会派に納めず、「中抜き」していたのは、現職16人、元職など10人の計26人。このうち8人が幹事長経験者だった。自民の現職で最多となる当選7回の三宅茂樹都議は「いつから始まったかは定かではない」と話すなど、不記載がどう引き継がれてきたかは明らかにならなかった。
2023年末には自民党最大派閥の安倍派などよる裏金問題が明らかになったが、当時、会派内で議論の場が持たれることはなかったという。幹事長の小松大祐都議によると、会派としての調査が始まったのは、東京地検特捜部から指摘を受けた昨年5月以降だった。
こうした状況に対して、都民ファーストの会都議団は23日に談話を発表し、「都議会の信用失墜、都民の著しい政治不信を招く重大な事態で、極めて遺憾」と批判。「都民に対して真摯(しんし)に説明を尽くしていくことを強く求める」と訴えた。
都議会立憲民主党の竹井庸子幹事長も「国会議員と同じ裏金づくりの構図があったことは明らか。裏金化の動機や何に使ったのかもあいまいで、説明も不十分だ」と指摘。会派内にプロジェクトチームをつくり、この問題を追及する特別委員会の設置を目指すという。
共産党都議団は企業・団体献金の禁止を掲げており、和泉尚美幹事長は「都の条例で禁止できるか、研究する」と話した。不記載があった自民都議への辞職勧告決議などを視野に、他会派と協議しながら対応を検討するという。
政治資金収支報告書の不記載があった自民党都議らの氏名と不記載額
【現職】
三宅正彦(島部) 332万円
田村利光(西多摩) 287万円
三宅茂樹(世田谷区) 251万円
小宮安里(杉並区) 250万円
柴崎幹男(練馬区) 241万円
早坂義弘(杉並区) 214万円
伊藤祥広(八王子市) 194万円
宇田川聡史(江戸川区) 138万円
鈴木章浩(大田区) 132万円
小礒明(南多摩) 65万円
吉住栄郎(新宿区) 46万円
河野雄紀(板橋区) 39万円
発地易隆(足立区) 37万円
石島秀起(中央区) 30万円
星大輔(町田市) 12万円
本橋巧(北多摩第2) 10万円
【元職など】
吉原修(町田市) 146万円
神林茂(大田区) 111万円
秋田一郎(新宿区) 102万円
崎山知尚(荒川区) 56万円
広瀬真木(小金井市) 48万円
鈴木隆道(目黒区) 40万円
沢田洋和(品川区) 29万円
北久保真道(北多摩第1) 25万円
栗山芳士(目黒区) 22万円
山崎一輝(江東区) 16万円
※都議会自民党の調査結果より。不記載額は2019年と22年の合計。敬称略