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弁論後に会見する原告の現役自衛官の男性=2024年9月9日、札幌市中央区、上保晃平撮影

 陸上自衛隊の上官によるパワーハラスメント(パワハラ)を匿名で通報したところ、自身が通報したと特定されて不利益な取り扱いを受けたとして、北海道内の現役自衛官の50代男性が国に慰謝料など220万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であった。国側は事実関係をおおむね認め、賠償額を争う方針を示した。

 国側は、陸上幕僚監部の窓口が受け取ったパワハラに関する男性の投書が、男性の所属部隊に渡ったことを認めた上で、その違法性を否定した。

 一方、部隊の上官らが通報者を男性と特定して自白を迫り、「通報というテロ行為をする者は許すわけにはいかない」「威力業務妨害で訴える」といった趣旨の言動をしたことなどについては、「パワハラ防止の訓令や通達に違反し、原告の法的利益を侵害した」と賠償責任を認めた。(上保晃平)

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