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身寄りのない男性が路上で倒れて亡くなり、男性の家から自治体職員が回収した現金や通帳。国は、高齢者等終身サポート事業者が、身寄りがない高齢者の代理人として各種手続きができるよう、金融機関に対応を促すとしている=2023年11月(画像の一部を加工しています)

 身寄りのない高齢者らの身元保証や生活支援、死後事務などを請け負う「高齢者等終身サポート事業」について、一部の事業者が1日、国内初となる業界団体の設立をめざし、準備委員会を発足させた。今年秋ごろの団体設立をめざす。

 高齢者等終身サポート事業は、病院への入院や高齢者施設への入所時の緊急連絡先や支払いの担保などを含む「身元保証」をはじめ、通院の送迎や買い物への同行などの「日常生活支援」、葬儀や家財・遺品の整理などの「死後事務」といった、これまで家族や親族が担うことが多かったサポートを、民間の事業者が有償で提供するものだ。

増える事業者、監督官庁なく

 高齢化や単身化などを背景に、近年さまざまな業種から事業者が参入。事業者の増加とともに、消費者トラブルも増えている。しかし、全国的な業界団体もなく、監督官庁も決まっていないのが現状だった。

 準備委員会は4事業者で発足。今後、賛同する事業者を広く募りつつ、勉強会や意見交換会を重ね、今年秋ごろに、業界団体となる法人「全国高齢者等終身サポート事業者協会」を設立することをめざす。

 準備委は、身寄りのない高齢者の問題に詳しい弁護士や学識者らによる助言機関も設置。厚生労働省出身の事務次官経験者も参加する見込みという。今後、助言機関のアドバイスも受けながら、団体の入会に必要な条件や、優良な事業者を選びやすくする仕組みづくりなどについて話し合う。業界団体の設立は「国民の信頼に足る業界として健全に発展」することが目的としている。

 終身サポート事業をめぐっては、介護保険のような従来の公的な制度ではカバーされない部分を提供するかたちで登場した面もあり、行政による規制がほぼなかった。

相次ぐトラブル、訴訟も

 このため、課題は山積してい…

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