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小川正人・東京大名誉教授

 残業代が出ない公立学校教員の給与制度の改革を巡り、財務省と文部科学省の意見が対立している。

 両省の案の利点と課題は。背景にある長時間勤務の解決に必要なこととは何か。

 文科相の諮問機関・中央教育審議会の元副会長で東京大学名誉教授の小川正人さんに聞いた。

 ――財務省案についてどう評価していますか。

 月当たりの超過勤務は2022年度に行われた文科省の教員勤務実態調査で平均58時間(中学校)に上っており、文科省が指針で定める上限(月45時間)を超える明らかに過大な水準です。文科省も削減の取り組みは進めていますが、さらに強力に削減を目指す財務省の言い分も理解できます。

 ただ、教員を増やさずに仕事だけ減らせといっても限界があり、財務省の言い分通りに進めれば学校現場に必要以上の負荷がかかり、混乱する恐れがあります。

公立学校教員には、残業代が支払われておらず、代わりに一定率の「教職調整額」が上乗せ支給されている。今の「基本給の4%」から「13%」まで来年度中に一気に増やし、7千人超の増員も求める文部科学省と、時間外勤務の削減を条件に段階的に教職調整額を上げる案を主張する財務省が対立している。

超過勤務、削減に限界も 「本来業務だけで…」

 ――どういうことでしょうか。

 22年度の文科省調査で、小…

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