手のひらにのるほどの小さなピアノを模したケーキが、岩手県釜石市の老舗ケーキ店に飾られている。4月に亡くなったピアニスト、フジコ・ヘミングさんのために、店主の亀山弘能さん(70)がつくり、一緒に食べた思い出のケーキを再現した。
亀山さんはプロのトランペット奏者だったが、23歳で親の洋菓子店を継いだ。その後も音楽に関心を持ち、楽器を模したケーキを音楽関係者から頼まれてつくったり、有名ミュージシャンに贈ったりしていた。
2000年5月、フジコさんの盛岡市での公演に家族で出かけた。生きる喜びを伝えてくれるような、心にしみる音色が好きだった。
その時、フジコさんに食べてらおうと、グランドピアノを模したケーキを差し入れた。酒好きと聞き、コニャックをたっぷり使い、口溶けのいいチョコレートケーキにした。
その日、フジコさんは興が乗…