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普天間が返ってきたら:下

 沖縄県宜野湾市の大山地区に住む宮城優さん(60)の家は戦前からの農家だった。米軍の普天間飛行場の西にある大山地区は、豊富な湧き水を使った農業が盛んな地域である。

 先祖は稲作を営んできたが、戦後は商品作物のタイモに転換した。田のように水を張って作るので「田芋」と書き、沖縄では正月など祝い事に欠かせない食材だ。宮城さんは農薬や化学肥料を使わないタイモ作りに取り組み、子どもを集めた農業体験「どろんこ遊び」も開いてきた。

 そんな矢先に舞い込んだのが、PFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)など有機フッ素化合物による汚染問題だった。

 「こんなところで子どもを遊ばせていいのか」と言われ、環境を守る市民運動にかかわるようになった。やがて2022年に共産党から市議に立候補して当選。「自然栽培をうたってきた僕自身が否定された感じで、これほど不条理なことはない」と怒る。

 沖縄県環境部は16年度から…

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