小熊英二さん

 消滅可能性のある自治体が全国で744ある。人口戦略会議のそんな推計が注目されています。

 しかし歴史社会学者の小熊英二さんは、「自治体と地域はイコールではない」と注意を促しています。どういうことでしょう。小熊さんに聞きました。

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 消滅可能性のある自治体が744あるという人口戦略会議の分析が話題になっていますが、注意しておくべきことがあります。自治体は地域とイコールではないということです。

 明治21(1888)年には町村が7万以上ありました。しかし明治・昭和・平成の大合併を経て、今の基礎自治体数は1741です。国際的に見ても日本は自治体が少ない国です。

 日本に公立小学校は約2万あります。小学校区を一地域と考えれば、地域と自治体がイコールになるには自治体数2万が適正です。しかし現実には7万が1741に減ったのだから、一つの自治体には数十の集落がある計算になります。

自治体を単位に「地域」を語れるか

 実際に過疎自治体では、役場…

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