政治資金制度改革に向けた合意文書に署名する岸田文雄首相(右)と日本維新の会の馬場伸幸代表=2024年5月31日午前11時11分、国会内、岩下毅撮影

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案をめぐり、日本維新の会が自民案への賛成を決めた。馬場伸幸代表は、自民が維新の提案を「丸のみした」と胸を張るが、抜本改革とは言えない合意内容には、他の野党から「身を切る改革に厳しい維新が、なぜ」などと戸惑いの声が上がった。

 維新の馬場代表と自民党総裁の岸田文雄首相によるトップ会談は31日午前に国会内で行われた。冒頭から両者は文書にサインし、会談は10分程度で終わった。

 馬場氏は会談後、記者団に「100%、我が党の考え方が通った」と強調。ブラックボックスとされる政策活動費の領収書を10年後に公開することなど、維新の要求に自民が応じたことを評価してみせた。

 維新は、国会議員に歳費(給与)とは別に毎月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化のほか、政策活動費や企業・団体献金の廃止などを訴え、自民と単独で交渉してきた。だが、譲歩は得られずやがて態度を硬化。他の野党と足並みをそろえ、自民への批判を強めていた。

 水面下の交渉が再び動き出したのは29日。首相の側近議員が「修正協議をリスタートしたい」と再び維新に接触。翌30日、自民が旧文通費の使途公開と残金返納、政策活動費の領収書の10年後の公開など、維新の要求を盛り込んだ案を提示してきたという。

 自民の再接触の動きは、公明党から強い反発に遭っていたことが背景にある。維新を抱き込めば、公明への牽制(けんせい)となるためだ。野党である維新からも賛成を得ることで「合意形成」に汗をかいた形にもなり、自民の閣僚経験者は「自公で採決を押し切るよりも、見栄えがいい。よかった」と安堵(あんど)した。

「細部はこれから」に、トリガー破談の国民民主が「甘い」と指摘

 「自民が丸のみした」と胸を…

共有
Exit mobile version