なぜ日本では女性が自分の身体について自分で決められないままなのか。避妊や中絶へのアクセス、「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」について発信する「#なんでないのプロジェクト」代表の福田和子さん(29)はスイス・ジュネーブであった国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)を訪れ、日本の現状を訴えた。委員と直接対話し、日本政府の答弁を間近で聞いて、何度も涙を流したという。初めて訪れたCEDAWはどんな場所だったのか。
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――日本時間の29日夜、勧告を含む「最終見解」が出ました。どう受け止めましたか。
自分たちの声が届いた、と思いました。
CEDAWは、中絶した女性を罰する堕胎罪のある刑法、女性が中絶や不妊手術を受ける際に配偶者の同意を必要とする母体保護法を改正するよう求めています。また緊急避妊薬についても、すべての女性がアクセスできるように求め、薬局販売の際、16歳と17歳の場合に付された保護者の同意が必要という要件を撤廃するよう指摘しました。これは私たちがずっと国内で求め続け、今回CEDAWへ送ったリポートでも訴えていたことです。
また性的マイノリティーや移民、在日コリアンなどへの複合差別や技能実習生の妊娠の問題にも言及していて、国内で弱い立場におかれている女性に対しても「見ているよ」というメッセージを感じ、心強く思いました。
――初めて参加したCEDAWはどのような場所でしたか。
委員が私たちの訴えに真摯(しんし)に耳を傾けてくれたことが印象に残っています。対日審査を傍聴しながら、何度も泣きました。
私たちは「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」を立ち上げ、緊急避妊薬を医師の処方箋(せん)なしで買えるようにするかどうかの議論になった時には、厚生労働省が実施したパブリックコメントに意見を寄せるよう呼びかけました。約4万6千件のコメントが集まり、98%が賛成でした。その後、始まった試験的販売はごく一部の薬局でだけで、今も手に入りやすいとは到底言えません。意見が届かず、女性の権利が後回しにされる経験を重ねるなかで、知らない間に、私たちは無力感を刷り込まれていたように思います。
質問に何度も同じ文言を繰り…