作曲と作詞を手がけるAyaseとボーカルikuraによる音楽ユニット「YOASOBI」が、初めてのドーム公演に挑んだ。10月末の大阪・京セラドームと11月の東京ドームでの計4公演で、約17万人を動員した。
最終日(11月10日)の公演を見て、YOASOBIの新たな魅力を強く感じたという音楽評論家・スージー鈴木さんの寄稿などで、ライブを振り返る。
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客席には幅広い年代のファンがぎっしり。舞台に設置された巨大LEDビジョンの映像や炎などを使った豪華な演出も2人のパフォーマンスを引き立たせた。
米国での単独初公演や有名フェスへの出演などで、今年も活躍した2人。ライブ終盤、ikuraは「ikuraとして生きていく覚悟を決めた」「もっともっとYOASOBIは大きくなっていく。朽ちることなく前に進みたい」と決意を語った。
家族で訪れた東京都の山本涼音さん(15)は、デビュー曲「夜に駆ける」(2019年)の「聴いたことのないような転調に魅了され」て応援を始め、以前もライブを見たという。今回は会場規模が大きく、「演出がすごい」と驚いていた。
40代の会社員は、2人の人柄にひかれてライブを欠かさず見てきたという。「大舞台に負けない堂々としたパフォーマンス。コロナ禍で配信ライブをしていた頃から年齢を重ね、場数を踏んだたくましさを感じた」と感慨深げだった。
この日の最後、来年7月から、北海道や沖縄も含む14道県を回るホールツアーを開くと発表した。(野城千穂)
スージー鈴木さん寄稿 正確無比な声が紡ぐ「胸キュン」なロック
音楽評論家・スージー鈴木さん(57)は、ドームでのライブを見て、YOASOBIの新たな魅力を感じたといいます。ボーカルのikuraの圧倒的な力量を目の当たりにしたスージー鈴木さんの頭に浮かんだ、ある有名バンドのボーカルとは……。
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「胸キュン」という時代がかった言い回し。
YOASOBIの音楽的特徴を聞かれたら、私はそう答える。
やや専門的な話になるが(キーをCとして)「F-G-Em-Am」というコード進行を彼らはとにかく多用する(デビュー曲「夜に駆ける」の冒頭がまさにこれ)。また「E7」というコードを頻繁に組み入れる。
これらがもたらすものは長調…