1世紀の歴史を持つデフリンピックが11月、日本で初めて東京を中心に開かれます。耳の聞こえない・聞こえにくいアスリートの国際大会。「壁」をなくそうとメダルをめざす選手や関係者を追いかけると、真の共生社会に必要なものがみえてきます。
東京都荒川区の卓球練習場。「体の向きを工夫して」とコーチから声をかけられると、SMBC日興証券の山田瑞恵選手(29)はラケットを握り直した。勢いのある球がコーナーにビシビシと決まり始めた。
耳ではなく、目で「聞き」分ける
「本当にまじめでアドバイスをきちんと聞いてくれる」とコーチの下川寛子さん(42)。生まれつき耳が不自由な山田選手は、唇の動きや身ぶりで指示を読みとる。
ボールが小さく回転がかけやすい卓球は「回転のスポーツ」とも呼ばれる。健常者は音で回転を聞き分けるが、山田選手の場合は目で追いかける。
埼玉県出身。中学から卓球を…