転職や派遣などを手がける世界最大級の総合人材サービス会社「ランスタッド」(本社オランダ)のサンダー・ヴァント・ノールデンデCEOが5月、来日しました。同社は、管理職ポジションが空いたら、必ず女性候補者も立てるなど、多様性を重視しているといいます。
「女性だから」 一つの要素でみるのは「ナンセンス」
――企業理念に、Equity(公平)、Diversity(多様性)、Inclusion(包摂)を「ED&I」として据えています。なぜ平等ではなく公平を?
同じ大きさの自転車でも、身体のサイズによってはこぎにくかったり、そもそも車いす利用者は使えなかったりします。同じ自転車を提供することは「平等」ではありますが、それが必ずしも「公平」とは限りません。
多様な働き手が使いやすい、それぞれの自転車を提供し、みんながこげる状態が「公平」で、組織として生産性の高い状態だと考えています。
すべての人が「自転車をこげる」状態、すなわち「能力を発揮できる」状態に「包摂」し、「多様性」ある企業、社会にする――。これは、人材サービス会社としてのミッションとして当然のことです。
そもそも、性や障害の有無、民族など、人を一つの要素だけで見るのはナンセンスです。一人の人間を構成している要素は、実にたくさんあるわけですから。
「女性だから」「子どもがいるから」「同性愛者だから」と、特定の要素だけで人を判断している限り、その組織にとって最良の人を発掘することはできません。
多様な人材がいる組織の方が、創造力などの面でパワーがあることは、すでに多くの調査研究で明らかになっています。疑う余地はありません。多様な人が参加できる企業、社会は、それだけ力があります。
――多くの国は歴史的に男性優位社会です。こうした理念に、男性からの抵抗はなかったのでしょうか?
男性からの抵抗はどの国にも…