薬害被害者らと言葉を交わす武見敬三厚生労働相(当時)=2024年8月23日、東京・霞が関、藤谷和広撮影

 前厚生労働相の武見敬三氏は今月初旬の大臣退任あいさつで、「政治家冥利(みょうり)に尽きる1年間だった」と語った。感染症対策や国際保健、創薬といった分野で力を入れる一方、日本医師会(日医)との関係も取りざたされた。在任1年余りについて、厚労行政の動きとともに振り返る。

 武見氏は医療分野の取り組みについて、積極姿勢が目立った。なかでも肝いりは、新たな感染症危機に備えるための組織づくり。「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」の来年4月の創設に道筋をつけた。JIHSは、国立国際医療研究センター(NCGM)と国立感染症研究所が統合して発足する。

 昨年10月に立ち上げた準備会合では「世界に類例のない組織を目指したい」と意気込んだ。今年6月にNCGMを訪れた際は、訓示で「感染ピーク時は専門分野の研究や臨床を中断し、感染症の対応を行うのが求められる行動規範だ」と強調。自ら海外の専門家にヒアリングし、体制整備を進めた。

国際保健分野に注力

 国際保健の推進も重要テーマ…

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