
それぞれの最終楽章 父を看取って(9)
朝日新聞記者 佐藤陽
昨年3月28日、父が天国に召された。家族LINEに母が「しずかに静かに眠るようでした」と書き込むと、兄が「静かにいけて本当によかった」と応じた。もちろん僕も同じ気持ちだった。
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葬儀は4月1日、埼玉県八潮市の「八潮キリスト教会」で営まれることが決まった。父と母は、この教会に通っていなかったが、父に洗礼を授けた日本基督教団代田教会の平野克己牧師(62)の仲介で、特別に葬儀会場として貸していただけることになった。
葬儀の日は、穏やかな晴天だった。平野牧師は説教で「礼拝堂は光に向かって座ります。大きな窓から、ひつぎに光があたります。たとえどんな深い悲しみがあっても、慰めの光が注いでくるのです」などと述べた。僕は、窓から注ぎ込む光を見上げた。
賛美歌を歌った後、親族のあ…