屋根に上って能登瓦の修繕をする横尾亮さん=2024年8月6日午後3時5分、石川県輪島市門前町入山、安田琢典撮影

 能登半島地震の復旧工事による労働災害が増えている。建物の解体や家屋の修繕などの工事が本格化する今後、労災の発生件数が増加することは確実で、厚生労働省石川労働局は臨時の安全講習会を開くなどして業者に注意を呼びかけている。

 8月6日午後、黒色が美しい能登瓦が映える輪島市門前町入山の木造2階建て住宅の屋根の上に、金沢市で瓦工事業を営む横尾亮さん(49)の姿があった。朝6時前に金沢市を出発し、8時前には屋根に上がる。

 事故を防ぐため、横尾さんは約1時間の作業をすると、必ず30分前後の休憩を挟む。それでも真夏の業務は体力と集中力をいや応なしにそいでいくといい、「意識がもうろうとして落ちそうになったことは何度もある。最も暑さを感じる午後2時までに仕事を切り上げることもある」と打ち明ける。

 家主の木下正一さん(71)は、横尾さんが作業に当たる前、自ら屋根に上って養生を施した。「直射日光にさらされるうえ、熱がたまる黒い屋根の上は50度以上になる。立つだけで足の裏が痛くなり、職人さんは相当、大変だろう」とおもんぱかる。

上半期で前年上回るペース

 労災は、業務が原因でけがや…

共有
Exit mobile version