ハーモニーを響かせる安積女子高合唱団=1998年

連載「楽都の100年 音楽のまち郡山」(3)

 「合唱王国ふくしま」と言われる。その「王国」の中心に位置し、小学校から高校まで合唱活動が盛んなのが、郡山市だ。全日本合唱コンクール全国大会には、毎年多くの団体が出場し、好成績を収めている。

 今年、48回目の出場を果たした福島県立安積黎明(れいめい)高コーラス部もその一つ。前身の安積女子高時代から含め、2014年まで35回連続の金賞という大記録を打ち立て、うち24回は最優秀賞の栄冠に輝く、「楽都郡山」を象徴する存在だ。

 「合唱の安女(あんじょ)」の開花は、69年4月に音楽教諭の渡部康夫が赴任してきたことから始まる。

 福島師範学校で音楽にのめり込み、戦後間もなく教壇に立った。安女ではコーラス部顧問として定期演奏会の開催を実現する一方、指揮法の研鑽(けんさん)を積んだ。指導は厳しくもあったが、部員とは信頼関係で結ばれていた。

 「良い結果は良い練習から生まれる。悔いのない演奏をするため、必要なことを精いっぱいやろう」が口癖だった。

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 赴任6年目の74年、安女は19年ぶりとなる全日本合唱コンクール全国大会出場を果たし、初の金賞に輝いた。80年には再び金賞を受賞するとともに、全出場団体で最も優れた大賞にも選ばれた。

新任顧問を迎えた部歌「花かつみ」

 100人以上の部員が発する…

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