宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)が本屋大賞に輝くと、滋賀は喜びにわいた。「愛着が深まり、恩返しをしたい」と宮島さん。ただ、滋賀を自虐的に語るのも、賛美するのも違うと思っている。そのわけは――。
――滋賀県の広報誌のインタビューで「滋賀が自虐的に語られるのはとてもいや」とおっしゃっていました。どうしてですか?
滋賀をバカにするような言い方をするのは良くないでしょう。どこであっても自虐する必要もないし、外からバカにされる必要もないと思っている。それは当然ですね。いやですよ。
――「琵琶湖以外は何もない」と言う人もいます。どう思いますか?
そんなこと言わなくていいと思う。そういうのって、自分の子どもをけなすような感じになってしまうので。だから私はそういう言い方をしないよう心がけています。
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滋賀をむやみに持ち上げたくない
――反対に、「滋賀を賛美することもしない」とおっしゃっていますが、どうしてですか?
そう。滋賀はすばらしいですよ、というのもやっぱり違うなと思っていて。どこに住んでいても、いいところも悪いところもあるわけで、それは当然のことだから。滋賀に関しては、(観光船の)ミシガンとか近江神宮とかいいところもあるというのは本のなかで書いているけれど、だからと言って、むやみに持ち上げることなく、自然に書くようにしました。
――PR大使のようなことはしない、ということですか?
できる範囲で協力したいと思っているけれど、そればっかりになってしまうのも違うなと私は思っています。私は小説家なので、小説家を主にやっていきたいですね。
宮島さんは自身のことを「大津の作家」と表現します。記事の後半で滋賀への思いがさらに語られます。
――本屋大賞の発表会での第…