日本銀行が、過去25年間の金融緩和策の影響を分析した「多角的レビュー」では、異次元緩和が財政規律を緩めたのかについて、明言を避けた。財務副大臣の経験もある古川禎久・元法相は、異次元緩和の長期化によって、財政規律が失われたとし「国債や円が信認を失えば、取り返しのつかないことになる」と指摘する。
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――異次元緩和が始まった半年後の2013年9月から財務副大臣を務めました。
「12年12月に自民党が政権復帰し、第2次安倍政権が打ち出す経済政策『アベノミクス』への期待が強かった。異次元緩和は、2年で2%の物価目標を達成するため、短期限定の奇襲作戦だと位置づけていた。金融緩和と財政出動で時間を稼ぎ、成長戦略を推し進める政策との理解だった」
「短期決戦のはずが、日銀は14年10月に追加緩和を決め、政府は2度にわたって消費税率の8%から10%への引き上げを延期した。アベノミクスの雲行きが怪しくなったことで、異次元緩和は撤退の時期を逸し、泥沼にはまったのではないか」
「打ち出の小づち」はないのに…強まる積極財政
――結局、異次元緩和は昨年…