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特殊な構造から、「鼻ぐり」とも呼ばれる馬場楠井手(用水路)の内部。加藤清正が熊本を治めた江戸時代初期に築造されて以来、周辺の田畑に水を配り続けている=菊陽町教育委員会提供

 熊本県北部にある菊陽町の役場から約2キロ。滑り台など子ども向けの遊具を備えた公園の脇に、町が「ハイテク土木遺産」と名付けた文化財がある。

 「馬場楠井手の鼻ぐり」、通称「鼻ぐり井手」だ。

 約400年前、江戸時代初期につくられたとみられる用水路。全体の長さは12キロに及び、いまも176ヘクタールの田畑に水を配る。

 特徴的なのはその形状だ。400メートル弱の一部の区間は、岩山をくりぬいたトンネルの上部に、数メートルおきに橋を渡したような構造になっている。形が牛の鼻輪に似ていることから「鼻ぐり」という呼び名がついた。

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特殊な構造から、「鼻ぐり」とも呼ばれる馬場楠井手(用水路)の上部。江戸時代初期に築造されて以来、周辺の田畑に水を配り続けている=菊陽町教育委員会提供

「土木の神様」加藤清正の時代から

 水路内に堆積(たいせき)し…

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