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 老後にお金をため込んだまま亡くなるのではなく、生きているうちに使い切る――。「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」という考え方が関心を集めている。

 社会保険労務士でファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さん(66)も、そんな考えに関心を寄せ、実践に向けて行動を起こした一人だ。

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 自身の将来をシミュレーションし、断捨離を始めた。2年前のことだ。

 きっかけは2022年11月、散歩中の夫(70)が坂道で転倒し、足を骨折したこと。重傷で40日間の入院。「夫が前に転んでいたら、命に関わる事態になった可能性もあった。斜面で転び、亡くなった人もいると聞き、『もしも』に備えようと思いました」

 井戸さんは自分と夫の寿命をまず、シミュレーションした。参考にしたのは、健康寿命と死亡数最多年齢だ。

夫と自分の寿命は?介護費は?

井戸さんは寿命だけでなく、老後にかかるお金、想定される生活スタイルなどを次々にシミュレーションしていきます。計算を尽くしたうえで、まず起こした行動とは?

 日本人男性の健康寿命は72…

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