昨年4月の東京都江東区長選をめぐる事件で、公職選挙法違反(買収、有料ネット広告)の罪で在宅起訴された前区長・木村弥生被告(58)の判決が14日、東京地裁(鎌倉正和裁判長)であり、懲役1年6カ月、執行猶予5年(求刑懲役1年6カ月)が言い渡された。
自身の自民入りをめぐって対立した背景から、所属する自民公認候補ではなく前区長を支援していた前法務副大臣の柿沢未途・前衆院議員(53)は、同法違反(買収、有料ネット広告)の罪で既に有罪が確定。5月に同法違反罪で有罪判決を受けた柿沢氏の元私設秘書も、控訴せずに確定した。
「保守分裂」となり、計9人が立件される事態となった区長選。都議2期、衆院議員5期を務め、民主党、みんなの党、維新の党、希望の党、自民党などを渡り歩いた柿沢氏が、裁判で見せた姿とは――。
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姿を見せなかった、もう1人の「2世」
2023年4月。元自民衆院議員の木村弥生氏と前自民都議の山崎一輝氏(51)らが争った区長選。木村氏の父は元自民衆院議員の勉氏、山崎氏の父は区長を4期務めた故・孝明氏。「2世」同士の対決の裏で、私は、もう一人の「2世」の姿を探していた。
柿沢未途氏。
元外相の弘治氏を父に持ち、「柿沢党」とも言われる地元で強力な支持層を持つ有力な自民衆院議員だった。選挙期間中、どの候補者の陣営にも姿を現さなかった。
ところが、選挙後の5月1日。木村前区長が初登庁した際、真っ先に駆け寄った。トレードマークのオレンジ色のネクタイを締め、握手を交わし、記念写真の撮影に応じた。
やっぱり、うわさは本当だったのか。率直に、そう思った。選挙時から、柿沢氏が前区長を水面下で支援していることがささやかれていたからだ。
当時、柿沢氏はどんな心境だったのか。自らの公判では口を閉ざしたが、同法違反(買収)の罪に問われた元私設秘書の公判で証人として出廷すると、雄弁に語った。
「(木村氏が)立候補を決意…