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神奈川大の大庭三枝教授=本人提供

 石破茂首相は今年最初の外遊先に東南アジアのマレーシアとインドネシアを選んだ。海洋進出を強める中国を念頭に、安全保障や経済分野での連携強化を確認するためだ。両国は米中対立が激化するなかでも「バランス外交」を掲げるが、中国との経済的な結び付きが一段と強まっている。日本はどんな役割を果たすべきなのか。国際政治学者の大庭三枝・神奈川大教授に聞いた。

 ――首相のマレーシア、インドネシア訪問のポイントは。

 インドネシアは東南アジアにおける随一の大国で事実上この地域の盟主であり、マレーシアは今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国である。よって東南アジアとの関係を強化するというメッセージを打ち出す目的にはかなっている。ただ、この2カ国は外交相手としては「難易度」が高いというのが率直な印象だ。同じ東南アジアでも中国との距離感はさまざまだが、マレーシアとインドネシアは近年、中国寄りの姿勢が強まってきている。

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 ――両国が中国寄りになっている背景は。

 東南アジアの国々は「バラン…

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