現場へ! 園井恵子の青春②
〈盛岡から少し北に寄つたところに川口といふ小さな田舎町があります。(中略)川口駅では東北地方の例に洩(も)れず、正当な発音をすべき駅員までが、汽車が着くと早速〝カワグツ!……カワグツ!〟と呼びます〉(「歌劇」1938年3月号)
原爆で被爆死した俳優・園井恵子(享年32)は、宝塚の機関誌で、岩手の故郷をそう振り返っている。
1913年、園井は岩手県松尾村(現・八幡平市)で生まれた。生後1年で同県川口村(現・岩手町)に転居し、雪深い山里で幼少期を過ごした。
「園井恵子を語り継ぐ会」の…