最近地震多くない?――。各地で地震が発生するたびに、SNSではこうした投稿が目立つ。確かに地震は相次いでいるが、地震学者や気象庁の担当者は「統計的には普通の頻度」と口をそろえる。私たちはなぜ「地震が多い」と感じるのか。

X(旧ツイッター)で「最近地震多くない?」と検索すると多くの投稿がヒットする=2024年4月30日午後7時52分、大山稜撮影(画像の一部を加工しています)

 実際にどの程度の頻度で地震が起きているのか。気象庁のデータベースによると、今年1~4月末に、「ほとんどの人が驚く揺れ」とされる震度4以上の地震を全国で89回観測した。

 直近3年の同期間で、震度4以上の地震は2023年は9回、22年は22回、21年は21回。たしかに24年の89回は突出するが、元日の能登半島地震に関連する66回を除くと、おおむね横ばいになる。

 学者の見解はどうか。政府の地震調査委員会の平田直委員長(東大名誉教授)は4月の会見で、地震が多いと感じる人がいるとの記者からの問いかけに「統計を見れば、今が非常に多いということはない」と答えた。

 直近10年間(14年5月~24年4月末)をみると、震度4以上の地震は717回。その前の10年間(04年5月~14年4月末)は831回、さらにその前の10年間(1994年5月~04年4月末)は701回と、おおむね横ばいだ。

 百年単位のような長い時間スケールで考える地震学の世界から言えば、「日本ではこのくらいの頻度で地震が起きることが普通」(平田教授)なのだという。気象庁の担当者も「数カ月の間の地震の増減は大局的には誤差の範疇(はんちゅう)」と言う。

地震が多いように感じる「ある理由」

 それにもかかわらず、なぜ多いと感じるのか。

 防災心理に詳しい矢守克也・…

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