記者会見で質問に答える名古屋市の河村たかし市長=2024年4月30日午前11時17分、名古屋市役所、寺沢知海撮影
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 来春に任期満了となる名古屋市長選まで1年を切った。立候補表明したのは2人だけで、主要政党は様子見の構えを崩していない。前回の市長選で「5期目は出ない」と宣言したはずの河村たかし市長(75)が出馬をほのめかしており、その動向次第で構図が大きく変わりかねないからだ。

 「ありがたいことに、もう一度(市長の職を)がんばれという人も多くいる」

 河村氏は4月30日の会見で、市長選への対応を問われて「南無阿弥陀仏」といつも通りけむに巻いた後、こう立候補の可能性をほのめかした。

 前回市長選は逆風に見舞われた。自身が支援した大村秀章愛知県知事のリコール(解職請求)で署名偽造事件が発覚したからだ。「任期を全うする」「5期目は出ない」。最後の市長選だと強調し、接戦を制した経緯があるが、「名古屋市長だからこそ注目される」(市幹部)ことから、前言を翻すのではといぶかる関係者は多い。

 一方で国政への未練もにじませる。

 昨年10月、作家の百田尚樹氏らが立ち上げた政治団体「日本保守党」の共同代表に就任。4月28日の衆院東京15区補欠選挙では、同党の飯山陽氏が小池百合子・東京都知事が支援した乙武洋匡氏を上回る4位という結果に、河村氏は「既成政党とほぼ同等の力がある」。市長周辺は「この党が国政で一定の勢力を作れると見れば、衆院選に出るつもりだ」とみる。

市長選の対応は「すべては河村氏次第」

 こうした河村氏の動向に振り回されているのが、自民党や立憲民主党などの主要政党だ。

 国民民主党の大塚耕平参院議…

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