【動画】能登の夏の風物詩、あばれ祭=金居達朗、上田真由美撮影

炎の中であばれ神輿(みこし)を転がす担ぎ手たち=2024年7月6日午後11時15分、石川県能登町宇出津、金居達朗撮影

 能登に夏を告げるキリコ祭りの先駆け、「あばれ祭」が5、6日、石川県能登町宇出津(うしつ)で行われた。7メートルの大たいまつの火の粉を浴びながら巨大な灯籠(とうろう)「キリコ」が乱舞し、クライマックスには2基の神輿(みこし)が壊された。元日の能登半島地震の影響で中止を決める祭りもある中、模索しながらの開催だった。

 6日深夜、同町の八坂神社の境内。屈強な男性たちが、たかれた火の上を神輿を担いで通り、神輿を地面にたたきつけ、よじ登って転がす。神輿は屋根に穴が開いて黒く焦げ、火の粉が空高くまで舞い上がった。

 間近で見守る人たちからは、歓声とともに「もう、ええて」「いやー」と悲鳴に近い声も上がる。あばれ祭のクライマックスだ。

まちに津波、鳥居は倒壊…

 あばれ祭は、八坂神社の祭礼。各町内から担ぎ出されたキリコの明かりが照らす中、酒垂(さかたる)神社、白山神社の2基の神輿を壊す荒っぽさが特徴だ。八坂神社がまつる須佐之男命(すさのおのみこと)は乱暴さを喜ぶと伝えられてきた。

 宇出津のまちも地震で大きな被害が出た。津波が押し寄せ、家々が壊れ、道路はひび割れ、神輿を投げ込む梶川には津波にさらわれた車が流れていた。祭りに関わる3神社の4基の鳥居はすべて倒壊した。

 それでも3月末、コロナ禍をきっかけに関係者でつくった「あばれ祭運営改善協議会」は、開催の方向を決めた。

 ただ、すべてのキリコが出そろったわけではない。各町会のキリコを出すかどうかは、それぞれの町会に委ねられた。最終的に、27町会がキリコを担いで練り歩き、5町会は巡行はしないがキリコを組み立て、4町会は不参加を決めた。

 担がれずに飾られただけの動…

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