My吹部Seasons
宇都宮市文化会館で20日、「吹奏楽の甲子園」とされる全日本吹奏楽コンクール高校の部が開催される。全国の吹奏楽部員が憧れる舞台に計30校が立つ。
愛媛県立伊予高校は四国代表として通算28回目のコンクールに出場する。顧問の池田努教諭も卒業生で、2、3年生の時にコンクールに出場した。
高校を訪ねると、コンクールを目前にピリピリしたムードで練習しているかと思いきや、音楽室には明るい楽器の音と部員たちのにぎやかな笑い声が響いていた。
池田は語る。「今年は3人の幹部が中心になり、この明るい雰囲気をつくってきてくれました。コンクールは結果も大事ですが、それよりもこのメンバーでしかできない温かい音楽が伝わればと思っています」
【連載】My吹部Seasons
吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。
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吹奏楽部の大黒柱
池田の言葉に登場した「幹部」とは、部長と2人の副部長のこと。いずれも3年生で、伊予高の演奏と舞台衣装の「赤ブレ(赤いブレザー)」に憧れて入部したという共通点を持つ。
部長を務める武智心はホルン担当。安定したメンタルを持ち、部員からも池田からも圧倒的に信頼されている。「入部したとき、同期のホルンで私以外の2人は初心者。『このホルンパートをムキムキに鍛えあげて、みんなで全国大会を目指そう!』というのが当時の目標でした」
心は高1で55人のコンクールメンバーに選ばれるも、伊予高は四国大会で代表に選ばれず、コンクール出場はかなわなかった。「本当にたくさん練習したので、四国大会の後はみんなで悔し泣きしたのを覚えています」
高2の四国大会では代表に選ばれ、名古屋市で開催されたコンクールに出場した。
「去年は部員が55人ぴったりしかいなかったので、仲間の大切さを感じながらの演奏でした。名古屋の大きなホールを目にしながら『頑張ってきてよかったな……』と思いました」
審査結果は銅賞。ほろ苦さも…