仕事で子どもに接する人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」の創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法案」が9日、衆院本会議で審議入りした。(川野由起、高橋健次郎)

 「法案を起点とし、こども家庭庁が中心となり、社会全体として子どもたちを性暴力から守る社会的意識を高める」

 衆院本会議で、加藤鮎子こども政策担当相は法案の成立に向け、力を込めた。

 日本版DBSは、英国のDBS(Disclosure and Barring Service)の制度を参考にしている。どんなしくみなのか。

 子どもを指導する「支配性」などがある業務のうち、行政に監督・認可などの権限がある学校や認可保育所などは、犯歴確認を義務化。放課後児童クラブ(学童)や認可外保育所、学習塾などは任意の認定制度の対象とする。参加を希望する事業者が一定の要件を満たしていれば認定する。認定されると犯歴確認が義務化される。広告で表示し、犯歴確認をしている事業者だと示すことができる。

 犯歴が確認された場合は、配置転換などを事業者に義務づける。犯歴のある人の就労を事実上、制限するしくみとなる。

 対象とする「特定性犯罪前科」には、不同意わいせつ罪などの刑法犯に加え、痴漢など自治体の条例違反も含まれる。照会できる期間は、拘禁刑(懲役刑・禁錮刑を2025年に一本化)は刑を終えてから20年、執行猶予がついた場合は裁判確定日から10年、罰金以下は刑を終えてから10年とした。

 刑法には、更生の観点から刑を終えてから禁錮以上では10年、罰金以下では5年が経過すると刑が消滅する、という規定がある。

 この規定を超えた照会期間を設けることになるが、制度は「雇用を禁じる」などの強い規制ではなく、配置転換などの「間接的な就労制限」にとどめるため、同庁は照会可能と判断した。そのうえで、犯罪を繰り返す人が、性犯罪で有罪判決が確定した後、再び性犯罪で有罪判決が確定するまでの期間を調査。その結果、禁錮以上は20年、罰金以下は10年の範囲内に9割の再犯者が収まっていたため、この期間を定めた。

 子ども政策の課題として長年…

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