札幌地裁判決後に会見を開く(右から)原告の中学生の両親と猪野亨弁護士、立命館大学の佐野愛子教授=2024年5月24日、札幌市中央区、上保晃平撮影
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 子どもたちの思いは届かなかった。幼い時から使ってきた「日本手話」で授業を受けたいという、聴覚障害がある北海道札幌聾(ろう)学校(札聾)の小学生ら2人の訴えは24日、札幌地裁で退けられた。

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 「娘の思いはこんなにも伝わらないものなのか」。原告の1人で、いまは別の中学校に通う女子生徒の母親(43)は判決後、胸の内を吐露した。

 女子生徒が札聾小学部5年の頃、それまで授業で使われていた日本手話が徐々に授業から消え、学校で言葉が通じなくなったストレスから、生徒は登校ができなくなった。

 6年生の新たな担任教諭は、日本手話で授業ができるレベルになく、半年ぶりに復学した生徒とのすれ違いは続いた。札聾側の対応に不信が募り、生徒は昨年1月、札聾に通う男子小学生に続いて訴訟を起こした。

記事の後半では、日本手話に関する言語政策に詳しい専門家に話を聞いています。専門家は「言語的少数者への想像を欠く判決だ」と批判しています。

 原告側は手話を、独自の文法体系を持つ「日本手話」と日本語の文法に沿った「日本語対応手話」に分ける考え方を主張してきたが、判決は、日本手話だけでなくても、日本語対応手話や書き記した日本語などのコミュニケーション手段で「一定の水準の授業を提供することが可能」と判断した。

 女子生徒は、第1言語の日本…

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