与党が大敗した衆院選。「手取りを増やす」と訴えて躍進した国民民主党と、自民・公明両党による政策協議のゆくえが注目されています。旧民主党で、現在の国民民主党の幹部らとともに活動した経験もある元参院議員の峰崎直樹さんは、同党が若い世代を中心に支持を広げた背景に雇用の劣化があると分析しつつ、政策には疑問があると言います。
「小さな政府」路線のきっかけに
――国民民主は、税額を算出するにあたって所得から差し引く「基礎控除」額の引き上げによる所得税の減税や、実質賃金がプラスになるまでの消費税減税、社会保険料の負担軽減や「若者減税」などを訴えました。
確かに、そうした訴えが若い世代の支持をつかんだところはあるのでしょう。特に、働く人の約4割を非正規労働者が占め、正規との格差はとても大きいまま。多くの人が生活苦を感じているなか、「裏金」の問題もあり、怒りが顕在化したのだとみえます。
ただ、そこで減税や社会保険料を下げることには、私からすると違和感が強い。
一時的には手取りが増えて、一見すると自分たちによくしてくれているように見えるのかもしれない。しかし、その財源が今まで何に使われていたのかを考えると、圧倒的に社会保障です。日本の場合は少ないながらも、教育にも使われている。それをこれからさらに増やさなければならないときに、ありえない話です。福祉国家ではなく、「小さな政府」路線を突き進むきっかけにもなりかねません。
――国民民主党は、「トリガー条項」の発動によるガソリン税の引き下げも訴えています。
これも、持続可能な社会をつくっていくため、環境問題を重視しなければならない時代に、税を下げることでガソリンを消費しやすくするということで、時代の潮流から逆行しているのではないでしょうか。
時代にあわないといえば、基礎控除にかかわる「103万円の壁」も、夫が片働きで妻は専業主婦という昭和の雇用を前提にしたものです。
「今だけ、金だけ、自分だけ」に乗っている
――いくらまでの範囲で働けば、「扶養」に収まり、所得税を払わなくてもいいかという線引きですね。社会保険の「106万円の壁」「130万円の壁」などもあります。
今、公的年金なども専業主婦…