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 投げては最速149キロ、左打者としては高校通算19本塁打。投打での活躍が期待される福岡大大濠の柴田獅子(れお)選手(18)は、24日のプロ野球の新人選択(ドラフト)会議で、日本ハムとソフトバンクが競合して1位指名し、抽選で日本ハムが交渉権を獲得した。

 福岡県飯塚市出身。祖父が、福岡市に本拠を置いた西鉄ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)のファンだったことから、「獅子」と名付けられた。父と兄の影響もあり、小学2年から地元の少年野球チームに入った。「自分の考えを尊重してくれる練習環境」と感じ、大濠へ進学。そこで、子どもの頃からの「憧れ」だったプロの世界が「目標」に変わった。

 転機は高校2年の秋、福岡県大会の準決勝。マウンドを任されたが、2点のリードを守り切れず、サヨナラ負けを喫した。「このままじゃあダメだ」。投球の安定感を高めようと、自分の動作を見つめ直し、下半身も鍛え抜いた。一冬越すと、直球の「平均球速」が140キロ台となり、高いレベルで戦う手応えをつかんだ。

 今夏の福岡大会は投打の中心としてチームを引っ張り、決勝に進出。甲子園をかけた試合で先発したが、調子が上がらず途中降板し、敗れた。

 「高校でやれることはやりきった」。試合後、涙は出なかったが、選手としての自分に満足したわけではない。部活を引退後、インナーマッスル(体の深部の筋肉)の強化に力を入れた。けがを防ぎ、体の力を最大限に使えるようになるためだ。夏の頃より「軽い力で、のびのある直球を投げられるようになった」と感じている。

 打撃でも努力を重ねてきた。今年、球が飛びにくい新基準の低反発バットが導入されると、(水平にバットを振る)レベルスイングに変えた。打球が遠くに飛ぶようになり、今夏の福岡大会は計7試合で打率5割超を記録。チャンスの打席で敬遠される場面も目立った。プロを見据え、木製バットでの練習にも取り組んでいる。

 あこがれの選手は、大濠の先輩で、新人王を昨年獲得したオリックスの山下舜平大(しゅんぺいた)投手。自らが長所として挙げる手先の器用さを武器に、質の高い直球や幅のある変化球を繰り出し、「自分も新人王をとりたい」。一方で、「投手と打者、どちらにも挑戦したい」と二刀流への意欲を見せる。

 「目標は一軍で活躍すること。そのためにまずはケガをしない体作りに取り組みたい」。プロへの決意を問われ、そう力強く誓った。(石垣明真)

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