高橋靖幸さん

 多くの未成年者が性被害に遭ったジャニーズ問題。「性加害」をキーワードに議論や報道が進められてきたことに問題はないかと、教育社会学者の高橋靖幸さんは問いかけている。この問題を「児童虐待」ととらえて考えようとする作業がこの間、十分に取り組まれてこなかったのではないか、というのだ。話を聞いた。

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 旧ジャニーズ事務所の問題をめぐるこの間の報道と議論を見ていて気になったのは、「性加害」がキーワードになったことでした。

 今回の事件は、未成年者という弱い立場にある人たちが、強い権力を持つ年長者から性暴力をふるわれたものです。しかし性加害という論じ方では、加害者と被害者の間にあった圧倒的な「力の非対称性」が後景に退いてしまいがちです。

 他方、この言葉の裏側に隠れてしまう形で深く議論されなかったのが、「児童虐待」という側面でした。

「問題化する枠組み」が既にあった欧米

 ジャニー喜多川氏による虐待…

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