イスラエル政府が、アラブ系イスラエル人のベドウィン(遊牧民)に一部集落からの立ち退きを迫っている。応じない場合は住居を取り壊しており、今年の解体数は過去最多になる見込みだ。政府によるベドウィンの強制退去は以前からあったが、急増の背景には、パレスチナ自治区ガザ侵攻でも強硬策を主張し続けるネタニヤフ政権の極右閣僚の存在がある。
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粉々になったテーブルや椅子が辺り一面に散乱していた。ソファやトイレの便器、家の外壁や天井。全てが破壊されている。
「この家で育ち、結婚し、3人の子どもが生まれた。全ての幸せな思い出が詰まっている。それが一瞬にして崩壊した」。ワリード・ハキームさん(50)は肩を落とした。
政府、集落の住居が「違法建築」と主張
南部ラハト近郊の集落にある自宅にイスラエル当局が来たのは、5月のことだった。
「今から家を取り壊す」。そう言い渡され、30世帯全ての家がブルドーザーで破壊された。
ハキームさんによると、集落の全員が親族で、1948年のイスラエル建国前から住んでいた。
だが、政府は今年3月、集落…