港湾の現場で撮影にのぞむ部員ら=2024年3月10日、三重県松阪市、菊地洋行撮影
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 三重県松阪市の三重高校ダンス部が、地元の建設業者らと制作していたダンス動画が完成した。「きつい」といった建設業のイメージを一新し、新たな担い手確保をめざす業界に部員らが快く応じたもので、YouTubeで公開している。

 1日、部員ら約160人を前に、校内で上映会があった。

 約3分間の動画のタイトルは「SERIOUS FLAVORと踊ってみた!」。ヘルメットと作業服姿の女子部員が「足元と前髪に注意して作業しましょう」「ご安全に」と呼びかけてダンスが始まる。建設現場の風景と部員の踊りがテンポよく切り替わり、途中、材木や砂利を運ぶ業者や県職員も踊りに加わる。「SERIOUS FLAVOR」はダンス部のチーム名だ。

 三重高ダンス部は全国大会の常連。男女約30人でチームを作り、激しいロックダンスや腕の動きで表現するタットダンスなどの振り付けを考えた。リーダーで3年の村井彩莉(あやり)さん(18)は「こわい作業といった先入観を変えるため、とにかく明るくしようと、笑顔にこだわった」と話した。

 依頼したのは、県建設業協会松阪支部。業界は、少子化の影響もあって若手の人材不足が深刻になりつつある。県の協力も得て、建設業の魅力を知ってもらおうと、県内の高校を回って出前授業や測量体験などを進めるうちに、ダンス動画の話が持ち上がった。

 校内で練習を重ね、2月と3月に市内の橋の建設現場と港湾の補修現場で1日ずつ、ドローンも使って撮影した。業者や県職員ら計11人も部員に踊りの指導を受け、作業服やスーツ姿で出演した。

 出来栄えに、県建設業協会松阪支部の郷内(ごうない)吉貴理事(50)は「生徒や家族を通じて動画が広がり、業界に関心をもってくれる若者が増えてほしい」と話した。支部はお礼として楽曲の編集機材をダンス部に贈った。(本井宏人)

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